『魔女の子供はやってこない』を読んだ
とりあえず今読後すぐの感想を書きたいので急いで書く。
つい2時間ほど前に『魔女の子供はやってこない』を読み終わった。矢部嵩さん著、角川ホラー文庫、平成25年12月25日初版発行(電子版)。
とりあえず読み終わる直前の何ページか、クライマックスに向けて進んでいく間、リアルに「ウワーまじか」「アーそうなの」みたいなうわごとが勝手に出た。非常に気持ち良い体験だった。
ホラー文庫から出ているだけあり、割とストレートにグロテスクだったりえ、それはかなりエグいことになるのでは?みたいな展開(直接描写はされないけど)になったりする。主人公は小学生の女の子だから、こんな過酷な思いを女児にさせるなんて著者はだいぶアレなのではなどと思いながら読んでいた。しかしまぁそれもラストであぁそういうことねとなるので結局手のひらの上かいなと気持ちが良い。
全体のテーマとしては《願うこと》であるという風に読んだ。詳しいことはかなり内容の話をしないとうまく言えなそうだし言えても馬鹿がバレそうなので言わないことにする。大雑把に言えば魔女の魔法で願いを叶える物語の集まりなのだが、初っぱなの物語からだいぶアクセルを踏み込んだ感じで始まる。
ひと昔前の欧米ベストセラーの翻訳ばかり読んでいた私にとってはそのスピード感もかなり新鮮だった。『ジャッカルの日』や『ナヴァロンの要塞』など非常に事細かに取材をして本筋に入る前に準備をたっぷりして、100ページくらいしてからようやく物語が動き出したなみたいなのとは違い、語弊を含んだ言い方ではあるが《最近の》感がある。風邪薬ではなく劇症を示す毒薬みたいな感じだ。
読み終わるのにもそんなに時間はかからなかったし、最後線が繋がった時は涙を浮かべた。風邪薬は確かに効くが説得力と充実感の方が強かった。刺激は強いかもしれないが、とても面白かった。おすすめします。